処方箋なしの医療用医薬品の販売(零売)について

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市販薬

こんにちは。薬剤師のタコP🐙です。今回はあまり聞きなれない零売についてお話したいと思います。これを読むと市販薬を購入しようしても適当なものがないときに

零売とは?

コロナ禍が始まり1年になりましたが、医療機関でも発熱している患者さんは受診を断られるケースがあるようです。そのためか、最近テレビ番組で零売(れいばい)を専門に取り扱う薬局チェーンを取材した番組が時々放送されています。医薬品には大きく分けて「病院向け」の医療用医薬品と「市民向け」の一般用医薬品があります。基本的に自由に購入できるのは一般用医薬品ですが、医療用医薬品も実は処方箋がないと販売、購入ができない処方せん医薬品とその規制がない処方せん医薬品以外の医薬品があるのです。処方せん医薬品以外の医薬品は

  1. 必要最小限の数量に限定
  2. 販売記録の作成
  3. 薬剤師による対面販売

などの条件付きで処方箋がなくても購入することができるのです。この病医院で診察を受けずに医薬品を購入することを零売と呼んでいます。

なぜ零売は行われていなかったのか?

これは2005年から可能であったのですが、これまではほとんど行われていませんでした。この理由として私が考えるには大きく分けて3つ理由があると考えています。これはわれわれ薬剤師が仕事をするにあたって必ず守らなければならない法律の決まりが大きく関係しているのです。

販売者である薬剤師側も零売に対する不安感がある

要指示医薬品から処方せん医薬品へ名称変更、法律に触れる不安

かつては「医師、歯科医師、または獣医師から処方箋の交付、指示を受けた者以外の者に対して厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、または授与してはならない」と法律で決められている要指示医薬品という名称の医薬品のカテゴリーがあったのですが、実態に合わなくなってきたため、処方せん医薬品という名称に変更し、法律の条文も「医師、歯科医師、または獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、または授与してはならない」と変更されました。その時に要指示医薬品がそのまま処方せん医薬品に変わったわけではなく、要指示医薬品は700品目であったのが、処方せん医薬品では3200品目になりました。処方せん医薬品は零売できないため、他の業務で忙しい中、「零売はしない」とするのが業務の効率化が図れると考えられてきたのだと思われます。

零売よりも処方箋調剤をしている方が経営が安定する

零売は上記にも挙げたように必要最小限の数量しか販売できないのに一定時間対面でカウンセリングをしなければなりません。購入者の人数が安定しなければ、零売に力を入れても経営上不安定要素になってしまいます。そのため、処方箋調剤優先にせざるを得ません。医療用医薬品は処方せん医薬品以外のものであっても、広告することはできないため、積極的に零売に取り組むのが難しいのです。

零売により市販薬が売れなくなる

処方せん医薬品以外の医薬品はその成分が市販薬(OTC)と同じものがほとんどです。零売すると同じ成分の市販薬が売れなくなってしまうのです。零売は健康保険が効かないため、保険調剤よりは金額が高くなりますが、一般的に市販薬よりは安くつく傾向があるため、薬局の儲けが少なくなってしまう可能性があります。

処方箋調剤をしていた医薬品を販売する不安感

零売は医師の診察の代わりに薬剤師の責任で医薬品を販売するかしないか判断しなければなりません。処方箋調剤に慣れると自分の判断で販売する不安感はあります。

零売を利用するメリット、利用する際に気を付けること

すなわち、購入者側も零売は便利な制度ではありますが、必ずしも購入できるとは限らないことを認識しておく必要があります。また、対面販売が必要であるため、通信販売はできません。通信販売は市販薬のみとなります。零売を行っているかどうかは薬局の方針がありますので、普段行っている薬局で尋ねてみるとよいかと思います。

もちろん、どんな医薬品でも零売できるわけではありません。零売ができるものとしては塗り薬、貼り薬はほとんどが可能です。それに対して、抗生物質、睡眠薬はすべて不可能です。

零売は最小限の購入しかできないため、購入者にとって一つの選択肢と考えられます。零売を扱う薬局がこれから増加し、零売か市販薬購入か選択肢が増えてくれば諸事情により受診が難しい人たちにとって利益になれればと考えます。薬剤師としてもこれを機に零売を通して薬剤師の存在を一般市民により知っていただいて、薬剤師の地位向上の一助になれば光栄に思います。

詳しい内容については一般社団法人日本零売薬局協会という組織があり、ホームページをご覧ください。

コロナ禍での風邪薬を買い置きしておく際に購入のポイント、おすすめの商品を説明した記事になります。

今回ご紹介した零売を扱っている薬局はまだ数が少ないため市販薬購入のおすすめのサイトです。

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