零売とは?処方箋なしの医薬品販売が2027年に原則禁止へ

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市販薬

零売とは?まずは制度のおさらい

「病院に行く時間がないけれど、いつも使っている薬が切れそう」「休日で医療機関がやっていないけれど、湿布だけ欲しい」——そんなとき、処方箋がなくても薬局で医療用医薬品を分けてもらえる「零売(れいばい)」という仕組みを耳にしたことがある方もいるかもしれません。

零売とは、医療用医薬品のうち処方箋医薬品に指定されていないものを、薬局が必要最小限の数量に限って対面で販売する仕組みです。通信販売はできず、薬剤師によるカウンセリングと販売記録の作成が前提になります。法律上は2005年ごろから可能とされてきましたが、実際に取り扱う薬局は限られており、全国でもおおむね100店舗前後にとどまるとされています。

ただし、この記事で一番お伝えしたいのは「零売がどんな制度か」ではなく、2025年の薬機法改正によって、この仕組みの位置づけが大きく変わりつつあるという点です。以前このブログで零売を取り上げた際の内容から状況が変化しているため、最新の情報に更新してお伝えします。

2025年の薬機法改正で何が変わったのか

「通知」による運用から「法律」での原則禁止へ

これまで零売のルールは、厚生労働省が薬局向けに出す「通知」に基づいて運用されてきました。法律に明文の規定がなく、行政指導レベルの取り扱いだったのです。しかし2025年に成立した改正薬機法では、この状況が変わりました。改正後の条文には、薬局は「正当な理由なく」、処方箋の交付を受けて使用すべきものとして厚生労働大臣が指定する医薬品を販売してはならない、という規定が法律として明記されています。

例外は「やむを得ない場合」のみ

もっとも、すべての販売が一律に禁止されるわけではありません。改正法では、医師などから処方箋の交付を受けていない人に対して販売することが「やむを得ない場合」として厚生労働省令で定める場合には、引き続き販売が認められる建て付けになっています。ただし、その「やむを得ない場合」の具体的な範囲は、この記事を書いている時点ではまだ省令で定められておらず、今後の議論を待つ必要があります。

施行はいつから?

この規制強化の施行時期は「公布の日から2年以内」とされています。つまり、遅くとも2027年ごろまでには、処方箋なしでの医療用医薬品の販売は法律上「原則禁止」という形に切り替わる見通しです。現時点ではまだ経過措置的な状況にあり、従来のルールで運営している薬局も残っていますが、今後数年で状況が大きく変わることは念頭に置いておく必要があります。

なぜ規制が強化されることになったのか

法的根拠のなさをめぐる争い

今回の改正の背景には、通知だけに基づく運用に対する異議申し立てがありました。実際に、零売を手がける薬局を運営する事業者が、法律上の明確な根拠がない通知によって事業を制約されているとして、国を相手に提訴する動きもありました。今回の法改正は、こうしたグレーな部分に法律上の裏付けを与える意味合いも持っています。

医療現場からの安全性への懸念

一方で、処方箋を介さずに医療用医薬品が販売されることについては、医療現場から慎重な意見も根強くあります。医師の診察を経ずに薬剤師の判断だけで医療用医薬品を渡すことに対し、「副作用が起きた際の責任の所在が不明確になる」といった懸念が示されており、開業医を対象にした調査では規制強化を支持する声が比較的多く見られました。国会の審議でも、セルフメディケーションの推進と患者の安全性確保のバランスをどう取るかが論点になっています。

今、零売を検討している方が知っておきたいこと

制度が変わりつつある今だからこそ、現時点で押さえておきたいポイントを整理します。

  • 今はまだ利用できる薬局がある——原則禁止の施行はこれからのため、現在も零売に対応している薬局は存在します。ただし店舗ごとに取扱方針が大きく異なるため、訪問前に電話などで確認すると確実です。
  • 買えない薬もある——湿布や塗り薬などの外用薬は比較的対応されやすい一方、抗生物質や睡眠薬など、慎重な判断が必要な薬は零売の対象外とされているのが一般的です。
  • 通信販売では利用できない——零売は薬剤師による対面でのカウンセリングが前提です。オンラインでの購入をうたうものには注意してください。
  • あくまで「やむを得ない」ときの選択肢——零売は医療機関の受診が難しい場合の緊急避難的な仕組みという位置づけです。継続して同じ薬が必要な場合は、早めに医療機関を受診するか、リフィル処方箋の活用も検討するとよいでしょう。
  • 今後の制度変更に注意——「やむを得ない場合」の具体的な範囲は今後の省令で定められる予定です。数年内にルールが大きく変わる可能性が高いため、最新情報は厚生労働省や薬局への確認をおすすめします。

まとめ

零売は、処方箋がなくても医療用医薬品を薬局で入手できる数少ない仕組みですが、2025年の薬機法改正によって「原則禁止」が法律に明記され、2027年ごろまでに施行される見通しとなりました。今すぐ制度がなくなるわけではありませんが、今後は利用できる場面がこれまで以上に限定されていくと考えられます。体調不良が続くときや、いつもの薬が手元にないときは、零売に頼りきるのではなく、早めにかかりつけの医療機関や薬局に相談することを基本にしていただければと思います。

なお、この記事は2025年薬機法改正時点で公表されている情報をもとに構成しています。「やむを得ない場合」の具体的な範囲を定める省令は今後発出される予定のため、最新情報は厚生労働省の発表等でご確認ください。

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