はじめに
薬剤師として20年。 転職も多く、どこかで「ここでずっとは働けないな」と感じながら、いくつもの薬局を経験してきました。
そんな私が、フリーランスという働き方にたどり着いたのは、決して「バリバリ稼ぎたいから」でも「自由になりたかったから」でもありません。
きっかけは、子育てとの両立、心と体の疲労、そして“自分に合わない仕事”をやり続けるしんどさでした。
「雇われる」ことの安心感もあるけれど、
- 勤務時間がダラダラ長引く
- 電話や在宅対応に振り回されて本来の業務に集中できない
- 人間関係に疲れる
そんな毎日に、限界を感じていました。
そこから少しずつ、「自分が得意なことに集中できる働き方はないやろか?」と模索し、 たどり着いたのが、外来業務に特化した“フリーランス薬剤師”というスタイルでした。
この記事では、
- なぜ私がフリーランス薬剤師を選んだのか
- 実際の1日のスケジュールや働き方
- メリット・デメリット
- お金や保険など気になるリアル事情 について、正直にお話していきます。
私がフリーランス薬剤師を選んだ理由
薬剤師という仕事自体は好きでした。でも、雇用されて働いていた頃は、勤務時間が無駄に長くなることが多くて…。
電話対応や、他職種との調整、何となく付き合い残業する空気など、 本来の業務に集中できない状況にいつもストレスを感じていました。
その結果、疲労が溜まり、調剤過誤のリスクが高くなったり、 周囲との人間関係もうまくいかなくなったりと、悪循環に。
「このままじゃ長く続けられない」と思った私は、 “雇われない”という選択肢に目を向けるようになりました。
自分の得意や好きに集中できる働き方ができれば、もっと気持ちよく、長く働けるかもしれない——。 そんな想いから、フリーランス薬剤師としての一歩を踏み出しました。
苦手な在宅・電話業務を避けた「外来専任」という選択
私が特に苦手だったのが、在宅業務や電話対応。
在宅では施設スタッフとの連携がスムーズにいかず、
- 訪問できる時間帯が限られていたり、
- 落ち着いて服薬指導する時間が取れなかったり、
- 「薬剤師が訪問する意味」が他職種に伝わっていない場面も多く、 正直モヤモヤしていました。
そんな時、とある薬局で「在宅を拡大するために外来の人手が足りない」という話を聞きました。
「それなら、私が外来を専任で引き受ける形で働けないか?」と相談してみたところ、 業務委託契約という形で受け入れてもらえることに。
フリーランスであれば、仕事を自分で選べるのが魅力です。 今では、得意な外来業務に集中することで、以前よりずっとストレスの少ない毎日を送れています。
フリーランス薬剤師の1日のスケジュール
私には幼稚園児の子どもがいるため、幼稚園の送迎に合わせたスケジュールで働いています。
たとえば——
- 水・金は10時出勤(午前の診察が終わって薬局が混みだす頃)
- 金は夕方から勤務(学校帰りの患者さんが多い時間帯)
- 妻がパートに出る日は自宅で出来る作業(薬局業務での不明な事の調べ物、ブログの執筆など)をしています。
フリーランスならではの自由な時間設定ができるので、 家族の予定に合わせて柔軟に働くことができています。
また、退勤時もレジ締めや残務処理などに関わらなくていいため、 業務が終わればそのままスッと帰れるのも、ありがたいポイントです。
フリーランスになって良かったこと・困ったこと
良かったこと
- 出勤・退勤時間を自分で決められる
- 苦手な業務を避け、得意な外来に専念できる
- 無駄な残業や気疲れがなくなり、心に余裕ができた
- 子どもの都合や体調不良にも柔軟に対応できる
困ったこと・気をつけたいこと
- 働いた分しか収入がない(有給・休業保障なし)
- 契約がいつ終了するかは不透明
- 社会保険や年金、税金など、自分で管理が必要
収入は?保険は?気になるフリーランスのリアル事情
単価は高めだが「働いた分だけ」
業務委託の単価は、一般的なパート時給よりも高めに設定されることが多いです。 私のケースでは、時給換算で3,000〜3,500円ほどになることも。
ただし、働かなければ収入はゼロ。休みの日も報酬は出ないため、収入面は自分でしっかりコントロールが必要です。
社会保険・年金には法人経由で加入も可能
実は、フリーランス向けに社会保険・厚生年金に加入できる法人を経由する方法もあります。 私も現在は、そうした法人を通じて会社員と同じように社保に加入しています。 国民健康保険+国民年金よりも、トータルでの負担は軽くなるケースもあります。
確定申告はソフトで効率化
確定申告はクラウド型の会計ソフトを使えばかなり楽になります。 会費やソフト代はもちろん、仕事で使うスマホ・PC・交通費なども「経費」として計上可能です。
今後の働き方と読者へのメッセージ
フリーランスになって、「自分のペースで、無理なく働く」という選択肢があることに気づきました。
これまでの私は、転職も多く、働き続けることに自信を失いかけていました。 でも今は、自分の強みを活かせる環境で、ストレスを減らしながら、仕事を続けられています。
同じように働き方に悩んでいる方に伝えたいのは——
「あなたに合った働き方は、きっとある」ということ。
薬剤師のキャリアは、正社員だけじゃない。 子育て中でも、ブランクがあっても、自分に合ったペースで働く方法はあります。
この記事が、少しでも誰かのヒントになれば嬉しいです。
これからも、フリーランス薬剤師としてのリアルを発信していきます!
コメント