調剤薬局に来られていた患者さんに感謝され勇気づけられた話

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薬剤師

こんにちは。薬剤師のタコ🐙です。今回は私の経験談で調剤薬局に来られていた患者さんを通して成長し、勇気づけられた話です。特に病院や調剤薬局の薬剤師を目指す薬学生の皆さん、薬剤師の選択肢もあるけれどまだ進路を決めかねている高校生の皆さんに聞いてほしいです。私は調剤薬局の経験しかないので、調剤薬局での話しかできませんが、もしかしたら薬剤師だけではなく医師、看護師など他の医療職と呼ばれる職業を目指す人たちに共通することかもしれません。

はじめに

調剤薬局に勤めていると、いろいろな方が来られます。調剤薬局はサービス業の一部と言われますが、他のサービス業と違うところは医療であり、患者さんのお名前や年齢を把握できること、また処方されている薬を通してその人の悩み苦しみの一部が想像できることです。しかし、その悩み、苦しみに寄り添うのが我々薬剤師の仕事の一つではありますが、わかっていることは一部であって、見当外れを言って機嫌を損ねることもありますし、分からない部分を補完するために質問をして良かれと思ってしたことが嫌がられることもよくあり、ここは本当に難しい点です。

ある患者さんの例

さて、初めに調剤薬局薬剤師の難しい点をお話しましたが、患者さんから信頼されお話しやすくなるとその人の置かれている環境が見えてきて仕事がしやすくなります。私が実際に会った患者さんHさんとその旦那さんについてお話します。このHさんが私を薬剤師としての成長に導いてくれた患者さんになっていると思っています。

15年くらい前のことです。Hさんは50代で大腸がんにかかりほとんど自宅で療養されている方でした。Hさんは私がその薬局に入職する前から来られていて、初めて会った時から抗がん剤により体がやせ細り外に出るのも一苦労な状態でした。最近では抗がん剤は分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの抗がん剤が開発され、場合によっては完治に近い効果が期待されることもありますが、当時はまだそのようなものは一般的ではなく、昔からある抗がん剤を使うしかありませんでした。

Hさんが大腸がんと分かった時に旦那さんは勤めていた会社を辞めてHさんの看病をすると決めたそうです。まだ定年までは数年ありましたが、すぐ急変する可能性もあったようで、十分に看病できずに亡くなってしまったら後悔するだろうと思って仕事を辞めたそうです。手術後、抗がん剤の点滴を始めたのですが、体調は思わしくなかったようです。薬局に来られるときは抗がん剤の点滴を受けた後、のみ薬の処方箋を持ってこられることも多く、Hさんは車の中で待っていて、旦那さんが薬を取りに来られる状態でした。とても素晴らしいご夫婦だなと思っていました。

まだまだ薬剤師としては一人前ではなかった私を信頼してくれてこんな治療をしているのだけれど、どういう治療なのかとよく聞いてこられました。抗がん剤の点滴は通常1種類の薬ではなく複数の薬の決まった組み合わせがあり、何の薬を何日間使うといったレジメンと呼ばれる形があって、それに従って治療を進めていくといったことから始まり、普通の薬局では触れることが難しいことを調べるきっかけになりました。そのレジメンを理解することにより院外処方箋に記載される薬がなぜ処方されたのか理解出来るようになりました。

Hさんは私がこの薬局にいた6年間ずっと薬局に来られていました。そこから私が転勤になってしまったため、会うことはなくなったのですが、旦那さんが今までありがとう、と言ってくださいました。私は一番精神的にしんどかった旦那さんを元気づける助けに少しはなることができたと感じています。また私自身もHさんと旦那さんの力になりたいと思って色々と調べたことが薬剤師としての成長に大きくつながり、自信になりました。

この経験を通して伝えたいこと

薬剤師になりたての若手の皆さん、薬剤師を目指す薬学生、高校生の皆さん、このような場合はフォローすべきと思った患者さんには徹底的に準備して質問に答えて差し上げてください。大学で習ったことはもちろん大切ですが、実務で自ら学んだことは決して忘れないし、自信になります。患者さんの疑問に答えることで患者さんやそのご家族の悩み、苦しみが少しでも少なくなるなら、医療に従事する者としてこれ以上のことはありません。そのような患者さんのかかりつけ薬剤師になることができれば、喜んでくださいますし、薬局にも貢献できます。薬剤師のイメージアップにもなるのではないでしょうか。一緒に頑張りましょう。

このブログを読まれた皆さんの意見をお問い合わせフォームからいただければ幸いです。

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