調剤薬局と他の小売り業との相違点

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お薬

こんにちは。薬剤師のタコ🐙です。今回の話は、調剤薬局も業種としては小売業に分けられているようですので、調剤薬局と他の小売り業との相違点について書いていきます。最近は病院にかかるとたいていは院外処方箋が発行されて調剤薬局で薬をもらうことが一般的になりました。

院外の薬局という事情で時間がかかり、患者さん側からすれば、時間がかからないはずなのに、後の予定が狂ってしまった!とイライラした…ということがよくあります。

院内投薬が長く続いた理由

思えば30年くらい前は病院、医院の中で薬をもらうことが当たり前でした。それは病院で薬を買って院内で渡した方が儲かっていたのです。

薬九層倍(くすりくそうばい)なんていう言葉もありました。でも、薬の価格(=薬価)が下がり、病院で薬を抱えても「おいしい」時代は終わりました。明治時代に医師は薬を抱えずに診察に専念し、薬剤師は調剤をする、すなわち医薬分業の方針になったそうです。しかし、日本は医薬分業の時代になるまでは、いわゆる漢方医がほとんどなので診療と薬を調合して患者さんに渡すことはセットにしていました。そのためなのか、医師法22条に例外規定があって、条件を満たせば医師自ら調剤できるルールが存在するのです。これは現在もあります。そのため、現在でも、病院内で薬を渡しているところがあります。

最近の院外処方の理由

薬で儲からないこともあるのですが、30年前と比べると薬の種類が飛躍的に増え、現在は、医師であっても専門外の薬はよくわからないということが普通のことになっています。それに加えて、最近では、ジェネリック医薬品を使わないといけない…とかで病院内で薬を抱えるメリットはほぼないのです。

薬剤師は調剤室で何をしているのか?

薬局に入ると調剤室の中で忙しそうに電話していたり、走っていたりしているけれど、なかなか薬をくれないなあ、いったい何をしているのかなあと思ったことはありませんか?

我々薬剤師は処方箋を受け取ると処方箋に記載にされている薬をそのまま渡しても問題ないのかを考えながら薬の準備をします。その際に記載された内容に問題があれば疑義照会(ぎぎしょうかい)といって処方した病医院に確認しなければなりません。病院によってはFAXしか認めていないところもあります。電話でも時間がかかることもありますが、FAXは返事が返ってくるのに数時間かかることもあります。疑義照会する例として、

  1. 予定されていた薬と違うなど処方箋の内容に疑問がある場合
  2. 患者さんが他の薬をのんでいる場合に一緒にのんではいけないとされている薬が処方されている場合
  3. 粉砕(錠剤をつぶすこと)に指示があり、つぶすことができない錠剤の場合
  4. 粉薬や水薬で混ぜてはいけない場合
  5. 患者さんが処方されている薬にアレルギーがある場合
  6. 患者さんが個人的な理由があり、のめない場合(錠剤が苦手等)

主な疑義照会をする例を挙げましたが、これが患者さんをお待たせする大きな要因になっていると思われます。これにより、他の患者さんにも影響することがあります。

しかし、疑義照会は薬剤師法という法律で決められた我々薬剤師の義務なのです。実際は疑義照会は半分以上の例で上にあげている1番の場合になります。診察時に伝えられた、または伝えた(薬の内容によっては患者さんから依頼する場合があるため)内容と違うということです。

この場合は薬が変われば、すぐ終わることがほとんどですが、変わらなかった場合には、変わらなかった理由を伝えて患者さんに納得してもらうのが大変になることが多々あります。処方箋のような文書のやり取りで仕事をする、これは他の小売業には、なかなかないことだと思います。

また現在のルールでは一回一回診察を受けて処方箋をもらわないと薬はお渡しできないし、それを過不足なくお渡しするしかないため、たとえ明らかに処方箋に記載漏れと思われる薬であっても薬局の判断だけで処方箋の内容を変えることはできないのです。

以上のような理由があって、患者さんにお待ちいただくこともあるということを理解していただけると幸いです。

皆さんの意見がありましたら、お問い合わせフォームからよろしくお願いいたします。

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