ジェネリック医薬品メーカーの出荷停止からみる医薬品流通の危うさ

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お薬

こんにちは。薬剤師のタコP🐙です、お薬のお話と40代からの子育てについて書いています。

現在新型コロナウイルスのワクチン接種がいつできるか心配である人たちが多い中で、その問題に隠れて普段からもらっている生活習慣病の薬の需給がひっ迫しているのはご存知でしょうか?普段から定期的に病院に通い、薬をもらっている方はご存知の方もいらっしゃると思いますが、当たり前にあるはずの薬が取り寄せたくても満足に取り寄せることができないという事態になっているのです!

国の政策によりジェネリック医薬品が発売されている品目はできるだけジェネリック医薬品を使うようにという方向になっていますが、医薬品というのは製造方法、製造工程などを届け出て、その通りに作らなければならないとなっています。その工程を守っていなかったとして、あるジェネリック医薬品を製造しているメーカーが出荷停止をせざるを得なくなり、他のメーカーの製品に変更することになりました。しかし、他のメーカーはその需要をすべて吸収することができないので、これまで取引のあった得意先(病院、薬局など)を優先にすることになります。すなわち、他のメーカーに変更することができないわけなのです。

これまでには考えられなかった処方された薬を供給することができないかもしれないという事態になってきています。そのことが「医療維新」に【医師の先生方へ「後発品不足により薬局から処方提案する場合あり」】という内容で掲載されていました。

後発医薬品企業の不祥事が影響し、後発品の不足状況が深刻化している。先発医薬品にも影響が出始めているという。日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏が7月21日の中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)で、医薬品の不足により薬局側から処方提案する場合が出てきているとの認識を示し、医師に対し、理解を求め呼びかけた。他の委員からは、後発品企業に課す規制などを厳格化することで、さらに安定供給を揺るがすのではないかと危惧する意見も出た。

有澤氏は、「処方される先生方にお願いだ。薬局の現場では、さまざまな同一規格品の中から必死に最大限努力して製品を揃え、患者に調剤しているが、本当にどうにもならない場合がある」と述べた上で、「薬局側から、必要に応じた処方提案をお願いする場合もある。ご理解をお願いしたい」と呼び掛けた。

後発品の不足状況については、「数値上、現れにくく、被害の大きさが分かりにくい」と指摘。さらに「大口取引先には在庫があるなど、流通機能上のアンバランスもあるようだ」との認識も示した上で、後発品の使用率に応じた診療報酬上の減算規定について「企業から出荷調整や欠品の案内があった場合は、使用率の母数から一時的に除くなど、後発品に関する報酬上の対応を迅速にお願いしたい」と求めた。「不祥事を起こした企業のため、カバーしている企業、問題のなかった企業の医薬品にまで影響が出てきている。先発品にまで影響してきており、今後、より深刻になると予想できる」と繰り返し警鐘を鳴らした。

2021年7月23日 医療維新より

ここからは私個人の意見ですが、厚生労働省としてはこれからもジェネリック医薬品を推進したいので、ジェネリック医薬品の信頼を回復するために今回のジェネリック医薬品メーカー以外にも同じような事をしているところはないか調査すると考えられます。その調査により他のメーカーも同じように出荷停止がでてくる可能性があります。

さらに、問題を起こしたメーカーには新製品をしばらく作らせないなどのペナルティを課すという案があるようです。先発品しかなかった新薬の特許が切れ、新規にジェネリック医薬品が発売されるときは十分な在庫が必要ですが、このような状況では在庫が確保できず、かえってジェネリック医薬品の流通を阻害してしまいます。ジェネリック医薬品全体の流通量が少なくなり、先発品さえも手に入りにくい品目もあります。

一般の患者さんから見えるところでは「どうしても処方箋に書いてある薬が手に入らないので、同じようなものに変えてよいですか?」と薬局からお願いする場合があるということです。

これは新型コロナウイルスの広がりとは全く関係なく発生している事象ですが、もし薬局に行って上記のようなことがあったら、現在このようなことになっていることを理解していただきたいと思い、記事にした次第です。

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