9月なのにインフルエンザ?全国と和歌山の最新データを薬剤師が解説

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感染症

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「まだ9月なのに、インフルエンザが流行っているらしい」。そんなニュースを目にして、少し戸惑っている方も多いのではないでしょうか。夏の終わりにインフルエンザという組み合わせは、たしかに実感と結びつきにくいものです。和歌山で薬局に立っていても、9月の時点でインフルエンザの話題が出ることは例年そう多くありません。

実際のところ、いま何が起きているのか。厚生労働省が2026年9月4日に公表した最新のデータをもとに、全国と和歌山県、それぞれの状況を整理してみます。結論から言うと、全国では確かに増えていますが、和歌山県はまだ静かです。そして、その「まだ静か」という状態こそが、今いちばん活かせるものだと考えています。

全国では、昨年の約5倍のペースで増えています

厚生労働省が公表しているのは「定点当たり報告数」という数字です。全国に決められた医療機関があり、その1か所あたり何人の患者さんが報告されたかを示しています。患者数の総数ではなく、流行の勢いを比べるための指標だとお考えください。

2026年第35週、8月24日から8月30日までの1週間の全国の定点当たり報告数は1.76人でした。報告数の合計は6,543人です。昨年の同じ時期は0.35人、1,347人でしたので、およそ5倍という水準になります。

5週間で4倍以上に増えました

推移を並べると、増え方の勢いが見えてきます。

  • 第31週(7月27日〜8月2日):0.37人
  • 第32週(8月3日〜8月9日):0.52人
  • 第33週(8月10日〜8月16日):0.69人
  • 第34週(8月17日〜8月23日):1.11人
  • 第35週(8月24日〜8月30日):1.76人

5週間で4倍以上です。流行開始の目安とされる1.0人を、全国では第34週の時点で超えています。夏の間ずっと横ばいだったものが、8月の後半から急に立ち上がった形です。

一方、和歌山県はまだ静かです

同じ第35週の和歌山県の定点当たり報告数は0.49人、報告数は22人でした。全国の1.76人と比べると、3分の1以下です。

推移を見ても、第32週0.36人、第33週0.29人、第34週0.38人、第35週0.49人と、まだ大きく動いてはいません。流行開始の目安とされる1.0人にも達していない状況です。

同じ近畿でも地域差があります

近隣の府県を見ると、京都府が2.26人、滋賀県が1.23人と、和歌山県より高い水準にあります。兵庫県は0.83人、奈良県は0.79人、大阪府は0.77人です。全国でもっとも高いのは沖縄県の8.50人でした。

同じ関西でもこれだけ差があり、地域によって流行の立ち上がり方が違うことがわかります。なぜ和歌山県が低いのか、その理由をはっきりと説明できるデータは、現時点では見当たりません。

「もう危ない」でも「関係ない」でもありません

この数字の受け取り方には、ふたつの誤解がありそうです。

ひとつは「全国で流行しているのだから、和歌山ももう危ない」という受け取り方です。少なくとも今回のデータを見るかぎり、和歌山県で流行が起きている状況ではありません。過度に心配する必要はないと考えています。

もうひとつは、その逆で「和歌山は少ないのだから関係ない」という受け取り方です。こちらも正確ではないと思います。全国が5週間で4倍以上になったように、増えるときは短期間で動きます。

では和歌山県でもこれから流行するのか。ここは正直に申し上げて、断言できません。必ず来るとも、来ないとも言えないのが今の段階です。ただ、来てから慌てるよりも、静かなうちに考えておくほうが負担は少なくて済みます。「まだ大丈夫」ではなく「まだ準備できる時間がある」。これが今のデータのいちばん妥当な読み方だと考えています。

静かなうちにできる3つのこと

1. 予防接種の案内を確認しておく

高齢の方を対象とした季節性インフルエンザの定期予防接種は、例年、秋から冬にかけて実施されます。和歌山市の場合、2026年度の実施期間はこの記事の執筆時点でまだ公表されていません。10月が近づいたころに、お住まいの市町村のホームページを一度ご確認ください。

2. 接種の時期を、あらかじめ相談しておく

ご家族に高齢の方や持病のある方がいらっしゃる場合は、接種の時期について主治医やかかりつけの薬局に早めに相談しておくと、流行が本格化してから慌てずに済みます。

あわせてお伝えしておきたいのが、ワクチンの位置づけです。予防接種を受ければ絶対にかからない、というものではありません。重症化を防ぐことが期待される、という考え方が基本になります。この点を誤解したまま「打ったのにかかった」と感じてしまう方が、毎年いらっしゃいます。

3. 「まだ夏だから違う」と決めつけない

今の時期に熱が出ると、「季節的にインフルエンザではないだろう」と考えてしまいがちです。しかし全国では実際に報告が増えています。時期だけを理由に可能性を外してしまうと、判断を誤ることがあります。

まとめ

  • 全国の定点当たり報告数は第35週で1.76人。昨年同期の約5倍です
  • 全国は5週間で4倍以上に増え、第34週に流行開始の目安を超えました
  • 和歌山県は0.49人で、全国の3分の1以下。まだ流行の段階ではありません
  • 「もう危ない」でも「関係ない」でもなく、「準備できる時間がある」と捉えるのが妥当です
  • 予防接種の案内の確認、接種時期の相談、思い込みで判断しないこと。この3つが今できることです

数字は、不安になるためのものではなく、落ち着いて動くためのものです。発熱などの症状があって心配なとき、また持病やお薬との関係で接種の判断に迷うときは、自己判断せず、医療機関やかかりつけの薬局にご相談ください。

出典

※本記事の数値は2026年9月4日公表時点の速報値です。後日修正される場合があります。次回(第36週分)の公表は2026年9月11日を予定しています。

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