こんにちは。薬剤師のタコP🐙です。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類になり、外出制限や入院、療養も求められなくなりました。分類が変わっても、ウイルスは急に弱くなるわけではなく、一部の基礎疾患がある人々にとっては脅威であることには違いありません。
一方で、マスク着用や手洗いの徹底の意識も緩くなり、新型コロナウイルスの流行が再びひどくなっています。そして人々はコロナ禍の環境に慣れてしまい、感染への意識の差が出てきているように感じます。自身は体調が悪くてもマスクをしていないこともあるように感じます。
解熱鎮痛剤の説明はこちら。
これからおすすめの市販されている総合感冒薬と最後に漢方薬もご紹介します。
薬剤師としてコロナウイルス感染が疑われる症状があった時に常備しておきたい薬、自宅に備蓄し、子供から高齢者まで家族のだれもがのむことのできる風邪薬の市販薬を挙げてみました。
これはコロナウイルス陽性、陰性にかかわらずのむことはできますが、PCRの検査結果がわかるまでの繋ぎの薬と考えてください。
コロナウイルス感染症の症状も従来からの風邪と同じようなものであることから、今回風邪薬(=総合感冒薬)で自宅ににあると役に立つと思われる商品を選んでみました。すべてよく知られているメーカーの商品であり、ドラッグストアだけではなく、通販でも購入できて、皆さんにもなじみのあるの4社の風邪薬を紹介します。
- 全薬工業のブランドである「ジキニン」シリーズ
- 武田コンシューマーヘルスケアのブランドである「ベンザブロック」シリーズ
- シオノギヘルスケアのブランドである「パイロン」シリーズ
- 第一三共ヘルスケアのブランドである「ルルA」シリーズ
新型コロナウイルス感染症が再び流行し始めている中、自宅に風邪薬を常備しておくのもいいかもしれません。まず結論から申し上げますと新ジキニン顆粒または新ルル-A錠sをお勧めします。常備薬として購入する場合選ぶポイントはあまりたくさんの成分が入っているものを選ばないことと考えます。なぜなら、常備薬は子供はのめないものや風邪症状初期の対応としてたくさんの成分が入っているものは必要がないからです。後に述べますが似た名前のものもあるので、気をつけてください。
「ジキニン」シリーズ
薬効 | 成分名/商品名 | 新ジキニン顆粒 | ジキニンファースト錠/顆粒 | ジキニンC | ジキニン錠エースIP/顆粒IP | 小児用ジキニンシロップ |
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
解熱鎮痛成分 | イブプロフェン | 〇 | ||||
抗ヒスタミン成分 | d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
鎮咳成分 | ジヒドロコデインリン酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
鎮咳成分 | ノスカピン | 〇 | ||||
鎮咳去痰成分 | グアヤコールスルホン酸カリウム | 〇 | ||||
気管支拡張成分 | dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
中枢神経興奮成分 | 無水カフェイン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
胃粘膜保護成分 | グリシン | 〇 | ||||
抗炎症成分 | カンゾウエキス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ビタミン類 | アスコルビン酸 | 〇 | ||||
ビタミン類 | L-アスコルビン酸ナトリウム | 〇 | ||||
生薬成分 | カミツレ | 〇 | ||||
生薬成分 | ニンジン | 〇 |
「ベンザブロック」シリーズ
薬効 | 成分名/商品名 | ベンザブロックS | ベンザブロックSプレミアム | ベンザブロックL | ベンザブロックLプレミアム | ベンザブロックIP | ベンザブロックIPプレミアム |
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 900mg | 900mg | 180mg | |||
解熱鎮痛成分 | イブプロフェン | 450mg | 600mg | 450mg | 360mg | ||
抗ヒスタミン成分 | d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 3.5mg | 3.5mg | 7.5mg | 3.5mg | 7.5mg | 3.5mg |
副交感神経遮断成分 | ヨウ化イソプロパミド | 〇 | 〇 | ||||
鎮咳成分 | ジヒドロコデインリン酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
気管支拡張成分 | dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
交感神経興奮成分 | プソイドエフェドリン塩酸塩 | 〇 | 〇 | ||||
去たん成分 | L-カルボシステイン | 〇 | |||||
中枢神経興奮成分 | 無水カフェイン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
抗炎症成分 | トラネキサム酸 | 420mg | 420mg | 750mg | |||
抗炎症成分 | グリチルリチン酸 | 〇 | |||||
ビタミン類 | リボフラビン(ビタミンB2) | 〇 | |||||
ビタミン類 | アスコルビン酸カルシウム | 〇 | 〇 | ||||
ビタミン類 | ヘスペリジン(ビタミンPの一種) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
「パイロン」シリーズ
薬効 | 成分名/商品名 | パイロンPL錠/顆粒 | パイロンPL錠ゴールド | パイロン 溶かしてのむかぜ薬 |
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 360mg | 360mg | 900mg |
解熱鎮痛成分 | サリチルアミド | 〇 | 〇 | |
抗ヒスタミン成分 | d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 〇 | ||
抗ヒスタミン成分 | プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 | 〇 | 〇 | |
去たん成分 | ブロムヘキシン塩酸塩 | 〇 | ||
鎮咳成分 | デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 | 〇 | ||
鎮咳成分 | ジヒドロコデインリン酸塩 | 〇 | ||
気管支拡張成分 | dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 〇 | ||
中枢神経興奮成分 | 無水カフェイン | 144mg | 144mg | 75mg |
ビタミン類 | アスコルビン酸(ビタミンC) | 〇 | ||
抗炎症成分 | カンゾウ乾燥エキス | 〇 |
「ルルA」シリーズ
薬効 | 成分名/商品名 | 新ルル-A錠s | 新ルルAゴールドs | 新ルルAゴールドDX |
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 〇 | 〇 | 〇 |
抗ヒスタミン成分 | クレマスチンフマル酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 |
副交感神経遮断成分 | ベラドンナ総アルカロイド | 〇 | 〇 | |
鎮咳成分 | ジヒドロコデインリン酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 |
鎮咳成分 | ノスカピン | 〇 | 〇 | |
気管支拡張成分 | dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 〇 | 〇 | 〇 |
鎮咳去痰成分 | グアヤコールスルホン酸カリウム | 〇 | ||
去たん成分 | ブロムヘキシン塩酸塩 | 〇 | 〇 | |
抗炎症成分 | トラネキサム酸 | 〇 | ||
中枢神経興奮成分 | 無水カフェイン | 75mg | 75mg | 60mg |
ビタミン類 | ベンフォチアミン (ビタミンB1誘導体) | 〇 | 〇 | 〇 |
まとめ
「ジキニン」シリーズの特徴は、子供に使える小児用ジキニンシロップがあることです。子供さんが使う場合は今回紹介した4社の商品の中ではこの小児用ジキニンシロップのみです。顆粒が好きな方はジキニンシリーズがお勧めです。
「ベンザブロック」シリーズの特徴は
鼻症状がある時は黄色の箱(S)、
のどが痛い時は銀色の箱(L)、
熱がある時は青色の箱(IP)
とわかりやすくなっていることです。
購入するときに注意すべきことはすべてプレミアムとついている商品ができて、Lのプレミアムは鎮痛剤が多くなり、抗炎症作用のある成分が追加、IPのプレミアムは解熱効果の高いアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤を併用する形になっています。どちらを選択すればよいかわからない場合はプレミアムのついていないものを購入するのが良いと思います。なぜなら今回の風邪が治った後、常備薬として家に置いておくのであれば、余計な成分が入っていない方が使い勝手が良いからです。
「パイロン」シリーズは医療用のPL配合顆粒と同じ内容のパイロンPLと咳止めを加えたパイロンPL錠ゴールド、他社と似た内容のパイロン 溶かしてのむかぜ薬とありますが、医療用のPL配合顆粒に慣れている方はお勧めです。市販版では錠剤もあります。「ルルA」シリーズの特徴は新ルル-A錠sをベースにして鼻水を止める成分が入っている成分があったりしますが、シンプルな商品ラインナップになっています。家庭に常備しておく目的であれば新ジキニン顆粒または新ルル-A錠sをお勧めします。なぜなら解熱鎮痛剤がアセトアミノフェンであるからです。アセトアミノフェンは安全性が高く、小児でものむことができ、ほぼ他の薬とも併用できます。
漢方薬では何がよいか?
総合感冒薬では眠くなったりするなどで、漢方薬から選ぶ場合、新型コロナウイルス感染症対策としても役に立つ常備薬としては
1.熱がある場合
- 葛根湯
- 麻黄湯
の2種類の漢方薬をおすすめします。
葛根湯は漢方薬の中でも最も有名なものですが、微熱はあるが、寒気がして汗があまり出ていない症状に主に使います。
麻黄湯は節々が痛み、体温が38度以上と高熱になったときに使うものです。
いずれも胃腸が弱い方は胃が痛くなることがあるため、注意が必要です。
市販の漢方薬は医療用の半分の用量のものがほとんどですが、葛根湯は医療用と同じ濃度のものがあり、満量処方と書いてあるものがあります。いわゆる風邪症状では満量処方のものが効果がより期待できるので、おすすめいたします。
また、漢方薬は本人が拒否しなければ子供でも与えることができるため、その点でも常備薬に適しています。クラシエのものは4歳から、阪本漢法のものは年齢制限なく用量を調整して与えることが可能です。そのままでは飲みにくいので、白湯で溶いて団子状にして与えるのが最も与えやすいと言われていますが、その子が好きなジュースに混ぜて飲ませるのが現実的には良いのかもしれません。
もし家にあれば、甘い味がついている練乳、夏季であればアイスクリームに入れるのもいいでしょう。
ハチミツでもいいのですが、ハチミツには微量のボツリヌス毒素が含まれています。まだ分解する能力が十分にない1歳未満の子供の場合はハチミツに混ぜて飲ませるのはやめましょう!
2.咳がひどい場合
麦門冬湯
をおすすめします。咳を止める漢方薬です。
こちらも子供さんにも与えることが可能で、ツムラのものは2歳から、クラシエは年齢制限なく用量調整して与えることが可能です。
これまで挙げたものは新型コロナウイルス感染症の治療薬ではなく、新型コロナウイルス感染症だけではなく、検査が陽性でも陰性でも今の症状を緩和するものとして挙げたにすぎません。
皆さんの意見がありましたら、お問い合わせフォームからよろしくお願いいたします。
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