「30代になったのに、採血が怖い。大人なのに、こんなことで怖がるのはダメですよね」――健診の前になると、腕を出すのが憂うつになる方は、少なくないと思います。結論から言うと、全然ダメではありません。
この記事では、採血をする側の視点から、次の3つを整理します。
- 採血が怖いのは、普通のことであること
- 採血の前に、一言伝えてほしいこと
- 当日の準備と、採血中に我慢しないでほしいこと
採血が怖いのは、普通のこと
採血が苦手な大人は、本当にたくさんいます。血を見るのが嫌、という方は年齢に関係なく、30代でも50代でも珍しくありません。腕に針を刺すわけですから、怖いという気持ちは、大人になっても消えるものではないと思います。子どもの頃に嫌な思いをした記憶が、大人になっても残っていることもあります。
以前の採血で気分が悪くなったことがある方は、「また、なるのではないか」と不安になりますよね。その気分の悪さは、「血管迷走神経反射」という体の反応です。緊張や痛みがきっかけで血圧が下がり、冷や汗が出たり、目の前が暗くなったりすることがあります。気持ちが弱いから起こるものではありません。
怖いけれど、検査を受けに来た。それだけで、十分がんばっていらっしゃいます。
採血の前に、一言伝えてほしいこと
まず、「採血が苦手です」と、遠慮せずに言ってください。最初に教えてもらえると、採血をする側も、声かけや進め方を工夫できます。苦手だと言われた方には、気が紛れるような声かけを多くしています。これは私だけでなく、先輩方も皆さんそうされていました。そうすることで、「今回は全然痛くなかった」「知らない間に終わっていた」と言ってくださる方も多く、採血のトラウマが少し緩和されたという方が多いです。
前に気分が悪くなったことがある方は、「以前、採血で気分が悪くなりました」と伝えてください。施設によっては、ベッドで横になって採血できます。横になると、脳への血の流れが下がりにくいためです。
薬剤師からもお願いがあります。血が止まりにくくなる薬を飲んでいる方は、そのことも伝えてください。伝えておけば、押さえる時間を長めにするなどの対応をしてもらえます。
当日の準備
腕まくりしやすく、体を締めつけない服装がおすすめです。ベルトなどは、少しゆるめておくと楽です。
健診の日の薬は、空腹で受ける健診では、糖尿病の薬は飲まないように案内されることが多いです。何も食べずに飲むと、血糖が下がりすぎるおそれがあるためです。一方で、血圧や心臓の薬は、飲んでくるように案内されることが多いです。ただし、指示は健診機関によって異なります。案内をよく読み、わからなければ事前に問い合わせてください。自己判断で薬をやめないようにしましょう。
採血中は我慢しないでほしい
採血中は、針を見なくて大丈夫です。壁を見ていても、目を閉じていても構いません。口をすぼめて、ゆっくり息を吐くのもおすすめです。終わったら何を食べようかと考えるのも、よいかもしれません。
そして大事なのが、我慢しないでほしい症状です。針を刺したときに、電気が走るような痛みや、指先へのしびれを感じたら、すぐに言ってください。気分が悪くなってきたときも、我慢せずに声をかけてください。言ったら迷惑かな、と思わなくて大丈夫です。早く教えてもらえれば、早く対応できます。
受診の目安
- 採血のあと、しびれや強い痛みが続くときは、採血を受けた医療機関に相談してください。
- 怖さが強くて、健診そのものを避けてしまっている方は、健診機関やかかりつけの医師に、一度相談してみてください。
まとめ
- 採血が怖いのは普通のこと。気分が悪くなるのは体の反応で、気持ちの弱さではない。
- 苦手なこと、前に気分が悪くなったこと、血が止まりにくくなる薬は、採血の前に一言伝える。
- 楽な服装で、健診の日の薬は案内に従う。痛み・しびれ・気分不良は、我慢せずすぐに伝える。
怖くても大丈夫です。採血が怖い自分を、責めなくていいんですよ。
※この記事は一般的な情報で、個別の診断や治療に代わるものではありません。実際の判断は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
参考資料
- 日本臨床検査標準協議会(JCCLS)「標準採血法ガイドライン」(動画概要欄の参考情報。本文での照合は未実施)


