健康診断の尿検査で「ウロビリノーゲン(±)」と書かれていて、「これは異常なの?」と不安になった経験はありませんか。ウロビリノーゲンは健康な人の尿にも少量含まれるため、「±」を基準範囲とする施設は多くあります。ただし、表示方法や基準値は検査法・施設によって異なり、「1+」や「−」だけで正常・異常を断定することはできません。今回は薬剤師の夫と臨床検査技師の妻が、結果票の確認方法と受診を考える目安をわかりやすく解説します。
ウロビリノーゲンとは?尿検査で何がわかるのか
ウロビリノーゲンは、尿検査の項目のひとつで、肝臓と胆汁(たんじゅう)の働きをチェックする目安になる物質です。糖やタンパクのように「病気を直接見つける」というよりも、肝臓のコンディションを間接的に映し出す項目だとイメージするとわかりやすいでしょう。
体の中での流れ:赤血球→ビリルビン→ウロビリノーゲン
体内では、寿命を迎えた古い赤血球が日々分解されています。その過程で「ビリルビン」という黄色い色素ができ、肝臓を経由して胆汁の中に流れ込みます。胆汁は腸へ流れ込み、腸内細菌の働きで「ウロビリノーゲン」へと姿を変えます。その一部が腸から再び吸収され、血液をめぐって腎臓でろ過され、最終的に尿に混じって出てくる――この流れが正常に回っていれば、尿には常に少量のウロビリノーゲンが含まれているのです。
肝臓と胆汁の働きをチェックできる項目
胆汁は肝臓で作られ、腸へ流れて脂肪の消化を助けます。ウロビリノーゲンは「赤血球の分解 → 肝臓 → 胆汁 → 腸 → 再吸収 → 尿」という流れに関係するため、肝臓の病気や溶血で増えたり、胆汁の通り道が塞がると減ったりすることがあります。ただし、尿ウロビリノーゲンだけで肝臓や胆道の病気を診断することはできません。健診によっては測定されないこともあり、結果は血液検査や尿ビリルビン、症状と合わせて評価します。
「±(プラスマイナス)」は正常?検査結果の正しい読み方
最初に確認したいのは、結果票に記載された基準値と総合判定です。「±」を基準範囲とする施設は多いものの、試験紙の種類や判定方法によって表示は異なります。「1+だから正常」「−だから病気」と記号だけで決めつけず、その施設の基準に照らして読みましょう。
「±」は多くの施設で基準範囲
健康な人の尿にもウロビリノーゲンは少量含まれます。厚生労働省の施設向け検査案内でも、尿ウロビリノーゲンの基準値を「±」とする例があります。結果票の基準値が「±」で、ほかの検査や総合判定に異常がなければ、通常はその結果だけで病気を意味するものではありません。
結果別の考え方と次の行動
記号だけで病名を判断することはできません。まず結果票の基準値と総合判定を確認し、ほかの検査値や症状と合わせて考えます。
| 結果の例 | 考え方 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| ± | 多くの施設で基準範囲として扱われます。 | 結果票の基準値と総合判定を確認します。 |
| 1+、2+など | 施設の基準を超える場合、肝細胞の障害や溶血などで増えることがあります。ただし、この項目だけでは診断できません。 | AST・ALT・γ-GTP・ALP・ビリルビンなどの血液検査と一緒に確認します。 |
| −、検出されず | 胆汁が腸へ流れにくい状態で減ることがありますが、抗菌薬の使用、検体の保存状態、試験紙の特性などでも変わります。 | 尿ビリルビン、便や尿の色、腹痛・発熱・黄疸の有無を含めて医師に相談します。 |
大切なのは、一つの記号だけで安心したり病気を決めつけたりしないことです。判定が基準外の場合は、結果票に書かれた指示に従いましょう。
ウロビリノーゲンが増減する主な原因
尿ウロビリノーゲンは体内の変化だけでなく、薬剤や検体の扱い、試験紙の特性でも結果が変わります。前回と記号が違っても、それだけで病気が進んだとは限りません。
増えることがある場合
赤血球が通常より多く壊れる溶血や、肝臓でウロビリノーゲンを処理しにくくなる肝細胞の障害では、尿中の量が増えることがあります。ただし、尿ウロビリノーゲンは肝機能異常を見つける検査として感度が十分ではなく、正常に見えても肝疾患を否定できません。
減る・検出されにくくなる場合
胆汁が腸へ流れにくい状態ではウロビリノーゲンの産生が減ることがあります。また、抗菌薬による腸内細菌の変化、採尿後の時間経過や光への曝露などで、実際より低く出ることもあります。したがって、「−」だけで胆道閉塞と判断することはできません。
薬やサプリ、採尿条件も伝える
服用中の薬やサプリメント、採尿から検査までの時間によって、尿試験紙の反応が影響を受けることがあります。再検査や受診時には服用状況を伝え、健診機関から採尿方法の指定がある場合はその指示に従いましょう。服用薬をまとめて伝えるには、お薬手帳を活用する方法もあります。
「±」だったときの確認手順
ウロビリノーゲンが「±」でも、結果票の基準範囲内で、ほかの検査や総合判定に異常がなければ、通常はそれだけで急いで受診する必要はありません。次の順番で確認しましょう。
- 結果票の基準値と総合判定を見る
- AST・ALT・γ-GTP・ALP・ビリルビンなどを確認する
- 前年までの結果と比べる
- 再検査や受診の指示があれば従う
一つの結果だけで判断しない
尿ウロビリノーゲンは、単独では肝臓や胆道の病気を確定できません。基準外でも直ちに病気とは限らず、反対に基準内でも肝疾患を完全に否定できる検査ではありません。健診で再検査や受診を勧められた場合は、結果票を持参して医師に相談してください。
症状があるときは結果を待たずに相談
皮膚や白目が黄色い、褐色の尿や白っぽい便が出る、右上腹部やみぞおちが強く痛む、発熱を伴うといった症状がある場合は、ウロビリノーゲンの記号だけで様子を見ず、早めに医療機関へ相談してください。
まとめ:ウロビリノーゲン±の見方
- ウロビリノーゲンは健康な人の尿にも少量含まれます。
- 「±」を基準範囲とする施設は多いものの、結果票に記載された基準値を優先します。
- 「1+」「2+」「−」だけで病名を判断せず、血液検査・尿ビリルビン・症状と合わせて評価します。
- 再検査や受診の指示がある場合、または黄疸・褐色尿・白っぽい便・強い腹痛・発熱がある場合は医療機関へ相談します。
検査結果は、一つの記号ではなく全体で読むことが大切です。迷ったときは結果票を持参し、健診機関やかかりつけ医に確認しましょう。
ウロビリノーゲンについてよくある質問
ウロビリノーゲン「±」は正常ですか?
「±」を基準範囲とする施設は多くあります。ただし、検査法や施設で基準が異なるため、結果票の基準値と総合判定を確認してください。
「1+」なら病院へ行くべきですか?
1+だけで受診の必要性は決まりません。施設の基準、AST・ALT・γ-GTP・ALP・ビリルビンなどの結果、症状、健診の総合判定を確認し、再検査や受診の指示があれば従いましょう。
「−」なら胆道が詰まっているのですか?
「−」だけで胆道閉塞とは判断できません。抗菌薬の使用、検体の保存状態、試験紙の特性などでも検出されにくくなることがあります。尿ビリルビンや血液検査、便・尿の色、腹痛や黄疸の有無を含めて評価します。
参考資料
- 厚生労働省:臨床検査案内
- NCBI Bookshelf:Urinalysis
- NCBI Bookshelf:Clinical Methods—Urinalysis
- 福岡市医師会:尿定性検査(尿試験紙)の診かた
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