健康診断の結果で、尿酸値に「H」のマークがついていたことはありませんか。薬局でも「これは痛風になるということですか」とよく聞かれる項目です。
結論から言うと、尿酸値が高いのは「痛風の一歩手前」というより、体の中で尿酸が余っているサインです。この記事では、健診で指摘された方が次に何をすればいいのかを、3つのポイントにしぼってお伝えします。
尿酸とは?基準は7.0mg/dLまで
尿酸は、体の中で細胞が入れ替わるときや、食べ物に含まれるプリン体が分解されるときにできる、いわば燃えカスのような物質です。血液の中にどれくらい溶けているかを測ったものが尿酸値です。
基準は7.0mg/dLまでで、これを超えると「高尿酸血症」と呼ばれます。
基準は男女とも同じですが、健診機関によっては男女で基準値が異なる場合もあります。女性ホルモンには尿酸を尿として出すのを助ける働きがあるため、女性のほうが低めに出ることが多いのです。そのため、閉経をきっかけに尿酸値が上がる女性もいらっしゃいます。
ポイント1:心配なのは痛風だけではない
尿酸値が高いと聞くと、多くの方は足の親指の痛みを思い浮かべると思います。けれども、心配なのは痛風だけではありません。
尿酸は結晶になりやすい物質です。関節にたまれば痛風の発作、腎臓にたまれば腎臓の負担、尿の通り道で固まれば尿路結石になることがあります。痛みが出ていないからといって、体の中で何も起きていないとは限りません。
健診で指摘されたら、痛くなくても一度は相談していただきたい項目です。
実際薬局現場で血液検査の結果を見せてもらうことが時々ありますが、尿酸値が高くても自覚症状がない場合はよくあります。
ポイント2:ビールだけでなく、アルコールそのものと甘いジュースに注意
プリン体というとビールを思い浮かべる方が多いと思います。ビールにプリン体が多いのは確かですが、注意していただきたいのは、アルコールそのものが尿酸値を上げることです。アルコールは体の中で尿酸が作られるのを増やし、さらに尿酸が尿から出ていくのを邪魔します。焼酎やウイスキーに替えたから安心、とはならないのです。
もう一つ意外なのが、甘いジュースです。果糖は尿酸を作る材料になります。お酒を飲まない方でも、清涼飲料水をよく飲む方は尿酸値が上がりやすいことがあります。
食べ物では、プリン体が多いのはレバー、白子、あん肝など。うま味の強いものとプリン体はけっこう重なります。逆に、いくらや数の子は多そうに見えて、実はとても少ない食品です。
ポイント3:水分をとって、尿として出す
3つ目はいちばん地味ですが、実行しやすいことです。尿酸を尿として出すために、1日に尿が2Lくらい出るように水分をとるのが目安とされています。水やお茶で構いません。
検査をする側からもひと言添えると、脱水の状態だと尿酸値は高めに出ます。健診の日に水を我慢して来られた方は、実際より高く出ている可能性があります。健診の前でも、お水は飲んで大丈夫です。また、前日にハードな運動をした場合も尿酸値が上がることがあります。
お薬は「自己判断で始めない・止めない」
尿酸値を下げるお薬について、注意点を2つお伝えします。
1つ目は、痛風の発作が起きているまさにそのときに、新しく飲み始めないこと。かえって発作が悪くなることがあります。「痛いから今日から飲もう」ではなく、順番があります。
2つ目は、すでに飲んでいる方が、効いていないと思って自己判断でやめないこと。尿酸の濃度が急に動くと、それも発作の引き金になります。どちらも必ず主治医にご相談ください。
受診の目安
- 足の親指の付け根が急に赤く腫れて、触れないぐらい痛い:発作の典型です。我慢せず、整形外科か内科を受診してください。
- 痛みがない場合:健診の結果を持って、かかりつけの先生に一度見てもらえば十分です。数値1つでお薬が決まるわけではなく、ほかの項目や体の状態とあわせて判断されます。
まとめ
- 尿酸値は7.0mg/dLを超えると高尿酸血症。心配なのは痛風だけでなく、腎臓や尿路結石も。
- ビールだけでなく、アルコールそのものと甘いジュースに注意。
- 水分をとって、尿として出す。
- お薬は自己判断で始めない・止めない。
健診の紙にぽつんと「H」がついているだけだと不安になりますが、意味がわかると、次にやることが見えてきます。
この内容は、臨床検査技師の妻と薬剤師の夫がYouTubeでも7分でお話ししています。
※この記事は一般的な情報で、個別の診断や治療に代わるものではありません。実際の判断は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。